「ディズニーリゾートの経済学」を読んで、テーマパーク産業の強欲さを思い知った

テーマパークは「消費を誘発する巨大装置」
ディズニーパークは、閉鎖空間に囲い込んだ消費者を夢心地にさせて、必要を超えて過剰な消費を勧める。

ディズニーリゾートの経済学第5章、「消費を誘う巨大装置」の冒頭には、こんな文章が刻まれている。

この文を見たとき、衝撃が走った。「テーマパーク」という概念を、経済的な視点で見るという考え方は、こういうことなのかと驚いてしまった…


まいど。今回は、「ディズニーリゾートの経済学」という本をご紹介しようと思う。

この本は、「東京ディズニーリゾートはなぜ成功したのか」という問いに焦点を当てた本となっている。しかし、読んでみるとわかるのだが、難しい経済学に関する話(数式など)は一切出ず、文章とカンタンなグラフだけで内容を伝えているため、数学が全くわからない筆者にも非常にわかりやすい本だった。
そして、この本はとにかく構成が面白い。
まず、序章から第4章までは、経済に関する事柄をところどころはさんではいるものの、ディズニーリゾートがいかにスゴいのかということに焦点を当てて書かれている。たとえば、こんな具合だ。
TDLでは、基本理念と運営概念を土台にして、職種ごとに詳細で具体的なマニュアル(手引書)がつくられている。日本人キャストが使いやすいように翻訳したもので、その数は約400種になる。そこには、キャストのやるべき業務内容や行動基準がいくつもの項目にわたってキメ細かく書かれている。このマニュアルこそアメリカ流サービスの神髄である。
こんな感じで、「ディズニーってこんなにスゴいんだよ!!こんなことしているんだよ~!!」という趣旨の文章が第4章まで続くのだ。

第4章では、あの「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」と東京ディズニーリゾートとを対決する形でディズニーのすごさが語られている。そして、その章の中でのユニバの扱いが実に酷い。

復活の気配が明らかなUSJだが、東西両テーマパークの人気争いは対決というほどではなかった。(中略)

テーマパークの出来栄えというよりも、「また行きたくなる」魅力でUSJはTDRに一歩及ばなかったということだろう。

「対決というほどではなかった」

なかなかの暴言である。わざわざUSJを取り上げて、そしてそれを「対決というほどではなかった」というセリフでけなしてしまうのだから、なかなかのものである。




さて、ここまでいろいろと書いてきたが、これは主題ではない。本題はここからだ。

第4章まで「ディズニーのすごさ」を語ったのち、第5章「消費を誘う巨大装置」に突入していく。この第5章こそ、ぼくが最も読んでほしい場所でもある。そしてこの第5章の冒頭は、この記事の冒頭でもお伝えした通り、

テーマパークは「消費を誘発する巨大装置」

という恐ろしい始まり方をするのだ。

しかし、よくよく読み進めていくと、実に真っ当なことを書いているし、論理的にも合っている。

筆者によると、ディズニー消費には2つの見方があるそうだ。

1つめが、消費の結晶体という見方。要するに、ディズニーリゾートという場所が生み出す消費だ。

たとえば、ディズニーリゾートの雰囲気。東京ディズニーリゾートに来ると、どこかいつもとは違う特別感を感じる。それがサイフを緩くさせ、消費を促す、と言っているのだ。

そして、外食産業。「外食」と言うと聞こえが悪いが、要するに「パーク内のフード」に関する決まりである。東京ディズニーリゾートでは、食べ物の持ち込みが禁止されている。そしてそれが食料品の売上・収益性を高めている、というのだ。確かに、ディズニーで売っている食べ物はべらぼうに高いが、それがより多くの利益を生み出している。よくよく考えれば当たり前であるが、パーク内にいる間は「高いなー」くらいにしか感じないから不思議なものである。

2つめが、キャラクタービジネスという見方。これは分かりやすいだろう。ミッキーとかミニーとかである。

筆者は、ディズニーブランドは世界最強である、としてディズニーキャラクターをホメてホメてホメまくった後、「ディズニーストア」の事業展開に触れている。ディズニーストアを「もう1つのディズニーパーク」と定義した上で、こんなことを書いている。

ディズニーストアは身近にある「もう1つのディズニーランド」と位置付けられ、とくに遠隔地ではディズニーランドを再訪したいという欲求を喚起させる装置となる。

なんちゅう書き方やねん、と思ってしまったが、よくよく考えてみれば実際にそうである。ぼくは高校まで千葉県に住んでおり、大学から関西に移住した身なのだが、関西人の「ディズニー行きたい欲求」の大きさに驚かされた。何か話をするたびに「ディズニー行きたい」「ディズニー行きたい」と言うのである。ディズニーは恐ろしい、とつくづく思ってしまった。

(余談だが、筆者の実家から東京ディズニーリゾートまでは3~40分ほどで行けてしまうため、正直あまり特別感がない。イヤミになっていたらすいません。)



それではまとめに入る。

東京ディズニーリゾートは、素晴らしい場所だ。しかし、その裏には「強欲な収益装置」が置いてある。それを見落としてはいけない。賢く暮らしたいのなら、浮かれてばかりじゃなく、慎重に考えてみることもときには必要だ。

(ここから本音)

でもさ、やっぱディズニーって楽しいよね。浮かれちゃうよね。楽しければそれで良いじゃん。お金使ったって、それで楽しければそれでよくない?ディズニーランドまで行って、ケチケチするの、それは違うと思うんだ。

(ここまで本音)

ちなみに、この「ディズニーリゾートの経済学」では、ディズニーリゾートの経済的側面のみならず、先ほどあげた「ディズニーリゾートのすごさ」、そして「ディズニーが社会に及ぼした影響」についても細かく書かれている。ディズニーファンのみならず、一般の方でも楽しく読むことができます。ぜひ一度読んでみてください。

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